青森ヒバ(こちら)に続く、北の銘木シリーズ。今日は秋田杉と、その最高の応用作品、大館曲げわっぱの話です。木の器が、なぜ飯をうまくするのか。理屈のある話です。
秋田杉は、雪が育てた美林
秋田杉は、木曽ヒノキ、青森ヒバと並ぶ日本三大美林のひとつ。米代川流域の雪深い山で、ゆっくりまっすぐ育った杉は、年輪が細かく均一で、狂いが少なく、淡い紅色の木肌と香りの良さで、建材から樽・桶まで愛されてきました。豪雪が木の成長を遅くし、それが材の質になる。寒さが品質を作る構図は、津軽のりんご(こちら)や寒仕込みの酒(こちら)と同じ、北国の方程式です。
曲げわっぱの科学 / 杉は呼吸する
大館曲げわっぱは、秋田杉の薄板を熱湯で柔らかくして曲げ、山桜の皮で綴じた器です。国の伝統的工芸品であり、そして「曲げわっぱの弁当はうまい」という定評には、ちゃんと理屈があります。杉の木肌が、呼吸するからです。炊きたてのごはんの余分な水分を杉が吸い、乾いてくれば返す。この調湿のおかげで、時間がたった飯が、べちゃつかず、固くならず、ほどよい状態に保たれる。さらに杉のほのかな香りと殺菌性が加わる。プラスチックの弁当箱との差は、昼に蓋を開けた瞬間に分かります。ごはんの器としての木、の最高到達点です(火で炊く飯の話はこちら)。
わっぱは、育てる器の仲間
無塗装の白木のわっぱは、使って、洗って、しっかり乾かす。この付き合い方は、サウナの木やまな板と同じです(乾燥が命、という点も同じ。こちら)。使い込むほどに飴色に育ち、手入れ次第で何年も働く。浄法寺塗の椀(こちら)と曲げわっぱと南部鉄器で、北東北の育てる食卓が完成します。
木の器と火の飯の、幸せな関係
薪ストーブで炊いた飯を、曲げわっぱに詰めて、雪見の外気浴のあとに食べる。木と火と米の国の、ささやかな完成形です。岩手・盛岡のD'STYLEは、その暮らしの火の側を担当しています。ご相談、いつでもどうぞ。



