南部鉄器(こちら)、木炭日本一(こちら)と来て、岩手の手仕事シリーズにもう一つ、大物が残っていました。漆です。国産漆の生産量日本一、シェアの大半を占めるのが、二戸市の浄法寺。今日は、漆の国の器の話です。
国宝を直す漆は、岩手産
日本で使われる漆のほとんどは輸入品で、国産漆はごくわずか。その国産漆の約七割を産むのが浄法寺です。漆搔き職人が、漆の木に傷をつけて、一滴ずつ樹液を集める。一本の木から採れるのは、一シーズンで牛乳瓶一本ほど。この貴重な浄法寺漆は、日光東照宮や金閣寺など、国宝・重要文化財の修復用に指名される品質です。つまり岩手は、日本の宝物を塗り直す漆を、山で育てている県。木の国の面目躍如です(森の循環の話)。
漆の椀は、汁をうまくする
浄法寺塗の椀は、飾り気の少ない、日常使いの漆器です。そして漆器は、見た目の道具ではなく、実用の道具。まず、断熱性。木と漆の椀は熱を通しにくく、熱い汁を注いでも手に持てて、汁は冷めにくい。次に、口あたり。唇に触れる縁のやわらかさは、陶器とも金属とも違う、漆だけのもの。味噌汁、ひっつみ(朝市の話)、凍み豆腐の煮物(こちら)。汁物の多い北国の食卓のために生まれたような器です。サ飯の汁椀を浄法寺塗にする。それだけで、一椀の格が変わります。
漆器も、育てる道具です
漆器は繊細と思われがちですが、日常の漆器は、使ってこそ育つ道具です。毎日使い、やさしく洗い、拭き上げる。使い込むほどにつやが深まり、傷んだら塗り直しができる。直しながら何十年も使う思想(こちら)は、鋳物のストーブや鉄瓶と同じです。岩手の食卓の理想形は、こうなります。南部鉄器の鉄瓶、浄法寺塗の椀、火で炊いた銀河のしずく(こちら)。すべて地元の、すべて育てる道具。
器まで含めて、火の暮らし
岩手・盛岡のD'STYLEは、火のまわりの暮らしの道具の話を、いつでも歓迎しています。サ飯の器の相談から、漆の里の旅の話まで。木と火と漆の国の店で、お待ちしています。



