この仕事をしていて「もったいないなあ」とうなだれる瞬間があります。薪ストーブを設置し終えたお客様から、「ところで、補助金って使えたんですか?」と聞かれるときです。

お住まいの市町村に制度があったのに、あることを知らないまま買ってしまった。しかも多くの補助金は「工事を発注する前」の申請が条件なので、設置が終わってからでは、もうどうにもならないんです。
岩手をはじめ東北には、薪ストーブやペレットストーブに補助金を出している市町村が実はたくさんあります。今日はその仕組みと、知らないと損をする落とし穴の話をさせてください。数字は、うちの地元・盛岡市の実例でお話しします。
なぜ自治体が薪ストーブにお金を出すのか
そもそも、なぜ市町村が薪ストーブに補助金を出すのか。理由は単純で、薪ストーブが地元の森のためになるからです。ストーブが一台増えれば、地元の山の木が薪として使われます。山にお金が入って、手入れが続く。森が、ちゃんと回っていくんです。
もうひとつはカーボンニュートラルです。木は育つあいだにCO2を吸収しているので、薪を燃やして出るCO2は差し引きゼロに近い、という考え方。国も自治体も脱炭素を進めたいので、薪やペレットで暖を取る家を応援してくれます。
うちは祖父が住田町の山主で、父が継ぎ、私で三代目の薪屋です。だからこの仕組みが、本当にありがたい。補助金って、要するに「地元の森を使ってくれてありがとう」なんだと、勝手にそう思っています。
盛岡市の制度を、実際の数字で見てみます
説明より、実物を見たほうが早いと思います。うちの地元、盛岡市の制度を、実際の条件でご紹介します。
盛岡市は、木質バイオマス燃料(薪)の利用を進めるため、二次燃焼機能付き薪ストーブを購入・設置する住宅に対して、費用の一部を補助しています。
| 対象 | 補助上限 |
|---|---|
| 一般の住宅(個人) | 経費総額の1/3、または15万円のいずれか低いほう |
| 店舗・事業者(新規・既設どちらも可) | 経費総額の1/3、または50万円のいずれか低いほう |
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対象になる経費は、ストーブ本体、煙突、設置費用など、必要となる経費の総額です。本体だけでなく、工事費まで含めて計算できるのは、実はありがたいところです。
そして、これは正直に驚いてほしいのですが、実際に、盛岡のお店の方が、この事業者向けの枠で50万円の補助金を受け取った実績があります。経費総額の1/3という上限の計算上、それだけの規模の工事だった、ということですが、それにしても大きな金額です。「補助金なんて数万円でしょう」というイメージをお持ちの方は、ぜひこの数字を覚えておいてください。
誰でも使えるわけではありません。要件があります
ありがたい制度ですが、当然ながら要件があります。盛岡市の場合、主なものはこうです。
- 二次燃焼機能の付いた、備え付けの薪ストーブであること
- 盛岡市内で産出される薪の利用に努めること
- 薪利用状況等に係るアンケート調査(年に1回)にご協力いただけること
- 発注(購入・契約)前であること(事前申請であること)
- 過去に同一住宅において、この補助金の交付を受けていないこと
この中でとくに大事なのが「発注前であること」です。これは後ほど、別の見出しでもう一度お話しします。
それから「盛岡市内で産出される薪の利用に努めること」という一文も、地元の店ならではのありがたい条件だと思っています。うちは元々が薪屋なので、地元の薪をご案内するのは、むしろ本業です。
事業者向けの枠は、手続きが少し丁寧です
店舗・事業者向けの枠(上限50万円)は、個人住宅向けより手続きが丁寧です。まず事前審査があり、選ばれた事業者だけが補助対象者になります。
必要な書類も、事前審査申請書、店舗の位置図や外観・内観の分かる資料からはじまり、選定後には事業計画書、収支予算書、見積書の写し、薪ストーブの仕様書(二次燃焼機能の確認書類)、継続使用の誓約書など、一通り揃えることになります。賃貸の場合は、貸主の同意書も必要です。
正直に言うと、これを全部お客様おひとりで揃えるのは、かなり骨が折れます。だからこそ、私たちのような施工店が、書類の準備からお手伝いしています。50万円という金額を考えれば、揃える価値は十分にあります。
補助金は、買った人へのご褒美じゃないんです。
買う前に動いた人が、受け取れる。
落とし穴その1:買ってからでは申請できない
いちばん多い失敗がこれです。多くの制度は工事の発注・契約より前に申請することが条件になっています。盛岡市の制度も同じで、発注済みのストーブは対象外です。ストーブを決めて、契約して、それから「補助金も申請しようかな」では遅い。順番が逆なんです。
気持ちは分かるんです。良いストーブに出会うと、早く決めたくなる。でもそこで一呼吸おいて、先に申請の確認をする。それだけで結果が大きく変わります。
落とし穴その2と3:予算枠と、機種の条件
ふたつめの落とし穴は予算枠です。多くの補助金には年度ごとの予算があり、申請が枠に達すると年度の途中でも受付終了になります。人気の制度ほど早く埋まります。冬に間に合わせたいなら、夏から秋のうちに動くのが確実です。
みっつめは機種の条件です。市町村によって対象になるストーブの条件が違い、二次燃焼機能付きを条件にしているところが多くあります。ほかにも「その市町村に住んでいること」など、地域ごとに細かな決まりがある。同じストーブでも、隣の市では対象、こちらの町では対象外、ということが普通に起きるんです。
よくある質問
Q. すでにストーブを注文しました。もう申請できませんか
残念ながら、発注後の申請は原則として対象外です。まだ購入・契約前の段階であれば、すぐにご相談ください。
Q. 盛岡市以外でも、似た制度はありますか
市町村ごとに制度も条件も違いますが、東北には薪ストーブ・ペレットストーブに補助金を出している自治体が実はたくさんあります。お住まいの地域に合わせて確認します。
Q. サウナにも使えますか
ご自宅のサウナならリフォームの枠、宿泊施設や店舗のサウナなら事業者向けの枠と、使える制度が分かれることがあります。計画の内容に合わせて確認します。
Q. 事業者向けの50万円の枠は、どんな業種でも対象ですか
新規・既設どちらの店舗も対象になります。詳しい要件と必要書類は当店で整理してご説明しますので、まずはご相談ください。
調べるのは面倒です。だから、うちが確認します
ここまで読んで「面倒だな」と思った方。その通りです笑。市町村ごとに制度も条件も申請のタイミングも違うので、ご自分で全部調べるのはかなり骨が折れます。
だからうちで、お客様の地域と検討中の機種に合わせて、使える制度があるかどうかを確認してご案内しています。岩手・青森・秋田の全域と宮城・山形の一部が対応エリアですから、「うちの町はどうですか」と聞いていただければ大丈夫です。
「買う」と決める前に、聞かせてください
補助金は、とにかくタイミングなんです。設置した後ではなく、計画の段階。「薪ストーブ、いいかもなあ」と思い始めた、まさにその段階で聞いていただくのが確実です。
盛岡の国道4号線沿いのショールームには、火の入った薪ストーブがあります。ご来店の予約は要りません。炎にあたりながら、「うちの市町村で補助金は使えますか」と、気軽に聞いてください。損をしてからでは遅い。その前に、一緒に確認しましょう。
※補助金の制度・条件・受付状況は年度ごとに変わります。本記事の盛岡市の事例は、確認時点の内容です。最新の状況は当社が確認してご案内します。
岩手・盛岡で薪ストーブ・ペレットストーブをお考えの方は、ハースストーン・バーモントキャスティングス正規代理店のD'STYLEへ。煙突の計画から設置工事まで、おすすめの一台をご提案します。どうぞお気軽にご相談ください。



