どか雪の翌朝、子どもより先に、お父さんの目が輝く遊びがあります。かまくら作りです。雪を積んで、固めて、掘る。単純なのに、なぜか大人のほうが本気になる。そして、雪まみれで冷えきった体には、サウナという最高の続きが待っている。今日は、雪国の遊びの王様と、その最高の相棒である熱の話です。

かまくら作りは、大人の沼
かまくら作りには、大人を夢中にさせる仕掛けがあります。まず、設計と工法があること。雪をただ積むだけでは崩れます。踏み固めながらドーム状に積み、一晩置いて雪を締めてから掘ると、強く美しい形になる。スコップの入れ方、壁の厚みの見極め、入口の向き。回を重ねるほど腕が上がる、立派な雪の建築です。そして、完成したかまくらの中の、あの不思議な静けさ。雪が音を吸い込むので、中は外界から切り離されたような静寂に包まれます。雪はすぐれた断熱材でもあり、外が氷点下十度まで下がっても、中はろうそく一本で、ほんのりあたたかい。ろうそくの炎に照らされた雪の壁は、淡いオレンジ色にほんのり透けて、まるで小さな氷の宮殿。子どものころ、あの中で飲んだ甘酒の味を覚えている方も、多いはずです。
横手のかまくら、四百五十年
かまくらは、遊びである前に、祈りの行事でした。秋田県横手市のかまくら祭りは、およそ四百五十年の歴史を持つ、小正月の伝統行事です。雪でつくった室(むろ)の中に水神様をまつり、子どもたちが「入ってたんせ」と声をかけて、甘酒と餅をふるまう。秋田にはほかにも、六郷の竹うちや、湯沢の犬っこまつりと、雪と火をめぐる冬祭りが息づいています。雪国の人々は、厄介者のはずの雪を、遊び場と祈りの場に変える知恵を、代々受け継いできたのです。(雪の外気浴の話は、サウナ歳時記に。)
雪遊びのあとの、サウナという発明
さて、かまくらが完成するころ、体はどうなっているか。手袋の中の指はかじかみ、長靴に雪が入り、背中は汗と雪で冷えきっています。この「芯まで冷えて、うっすら汗ばんだ」体に、サウナは、飛び上がるほど効きます。冷えた指先が熱の中でじんじんとほどけていく、あの快感。これは、フィンランドの人が凍った湖に空けた穴「アヴァント」と熱いサウナを行き来するのと、まったく同じ天然の温冷交代です。かじかんだ手足の血管が、熱でぶわっと開いて血が巡り出す、あの感覚。冷えた体を一度知っているからこそ、サウナの熱が何倍もありがたく感じられます。順番を変えて、サウナで温まってから雪へ飛び込む大人の遊びも、言うまでもなく最高。ただし、はしゃぎすぎて冷やしすぎないよう、体の声を聞きながらどうぞ。
庭が、冬のテーマパークになる
庭にサウナのある家の冬は、こうなります。午前中、家族でかまくら作り。昼はストーブの天板の鍋で温まって、午後はかまくらの仕上げと雪だるま。夕方、冷えた体で家族サウナ、締めは雪見の外気浴。どこにも出かけていないのに、一日中遊んでいる。雪が降るたび、庭がテーマパークになる。しかも入場無料で、毎年少しずつ腕が上がる。「また雪かきか」とため息をついていた朝が、「今日はどんなかまくらにしよう」の朝に変わる。子どもの記憶に残る冬として、これ以上のものがあるでしょうか。(子どもとサウナの話は、こちら。)
雪の多い年ほど、楽しい家を
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写真: FloNight (Sydney Poore) and Russell Poore (Wikimedia Commons, CC BY-SA 3.0)



