ペレットストーブを検討している方から、最初に聞かれるのはだいたい同じことです。「いくらかかりますか」。当然です。暖房器具ですから、まず予算が合うかどうかが一番大事です。
ストーブ屋としてお金の話をすると、曖昧に書いたほうが楽です。「お問い合わせください」で逃げられる。でも、それでは来る前に判断ができない。だから、この記事ではうちが実際に扱っているペレットストーブの費用を、本体・工事・燃料・メンテナンスまで全部書きます。
本体の値段
家庭用ペレットストーブの本体価格は、おおむね30万円から70万円の幅に収まります。30万円台はコンパクトな機種、50万円を超えると暖房出力が大きくなり、広いリビングや吹き抜けにも対応できるようになる。70万円に近づくと、デザインや蓄熱の工夫が加わってきます。
うちが扱っているシモタニの機種を例に出すと、こうなります。
EM2が363,000円(税込)。6畳から10畳くらいの部屋に向いた、一番手ごろな機種です。ALCOTTが544,500円(税込)。出力が上がって、リビング全体を任せられる。MAYが726,000円(税込)。鋳鉄のどっしりした存在感があって、火を眺める楽しさも備えています。
海外製のペレットストーブにはもっと高い機種もありますが、国産メーカーの家庭用であれば、このあたりが相場です。灯油ファンヒーターの1万円台と比べれば高いのは事実です。ただし、ペレットストーブは10年、15年と使い続ける設備です。1シーズンの暖房器具ではありません。
設置工事にかかる費用
ペレットストーブの設置工事は、おおむね15万円から25万円です。
この費用のほとんどは排気筒の取り付けにかかります。ペレットストーブは燃焼時にファンで強制排気するため、薪ストーブのような背の高い煙突は要りません。壁に穴を開けて、直径10cmほどの排気筒を外へ出す。それが基本の工事です。
薪ストーブの場合、煙突だけで50万円から80万円かかることがあります。二重断熱煙突を屋根の上まで伸ばすので、部材も工事も大がかりになる。ペレットストーブの設置費が薪ストーブの3分の1以下に収まるのは、この排気筒の違いが大きい。初期費用を抑えたい方にとっては、見逃せない差です。
ただし、壁の構造や設置場所によって費用は前後します。鉄筋コンクリートの壁に穴を開ける場合はコア抜きが必要ですし、排気筒を長く引く必要があれば部材が増えます。正確な金額は、現地を見てからお出しします。
1シーズンの燃料代
ペレットストーブの燃料は木質ペレットです。おがくずや間伐材を圧縮して作った小さな円柱で、1kgあたり60円から80円くらいで買えます。
ペレットストーブの消費量は、機種や火力設定にもよりますが、だいたい1時間に1kg前後です。岩手の冬で考えると、1日6時間ほど焚いて、シーズンが11月から3月の約120日。計算すると、こうなります。
1kg × 6時間 × 120日 = 720kg。1kgを70円とすれば、1シーズンの燃料代はおよそ5万円です。
灯油に比べてどうか。灯油暖房のランニングコストは燃焼量や灯油価格に左右されますが、岩手の一般的な家庭で1シーズン6万円から10万円という話をよく聞きます。ペレットのほうが少し安いか、同じくらい。劇的に安いわけではありません。正直に言えば、燃料代だけでペレットストーブを選ぶ理由にはなりにくい。
ペレットストーブの良さは、火が見えること、木の暖かさがあること、灯油のにおいがしないこと。そういう暮らしの質の話です。費用だけで測れない部分がある。でも、この記事ではあえて費用の話に絞ります。暮らしの質については別の記事で書いています。
メンテナンスの費用
ペレットストーブは、シーズンが終わったら年に1回、専門の業者に点検してもらうのが基本です。費用はおよそ2万円。
点検では、着火用のヒーターや温度センサーの状態、排気筒の詰まり、燃焼室の劣化、ファンの動作などを確認します。ペレットストーブは電子部品を使っていますから、放っておくと小さな不具合がシーズン中に止まらない故障につながることがある。年1回の点検で見つけておけば、部品の交換だけで済みます。
消耗部品の交換が入れば、別途かかります。着火ヒーターや耐火レンガなど、数千円から1万円程度のものが多い。これも薪ストーブと比べれば手がかからないほうです。薪ストーブは煙突掃除も含めたメンテナンスが毎年必要で、費用も手間もペレットストーブの倍はかかります。
日常の手入れとしては、灰の処理があります。ペレットストーブは灰が少ない暖房ですが、まったく出ないわけではない。2〜3日に1回、燃焼皿の灰を取り除く程度です。
補助金が使えることがある
ペレットストーブの導入に対して、自治体の補助金が出ることがあります。
岩手県内でも、市町村によって制度が違います。補助額も条件も年度ごとに変わるので、ここに「いくらもらえます」とは書けません。ただ、木質バイオマスの利用促進という名目で、ペレットストーブを対象にしている自治体は少なくない。申請すれば、本体価格の一部が戻ってくる場合があります。
うちに相談いただければ、お住まいの地域で使える制度があるかどうかは調べられます。補助金の申請は購入前に行う必要があることが多いので、先に確認しておくのが得策です。
結局、トータルでいくらか
ここまでの費用をまとめます。
初期費用は、本体30万〜70万円に、設置工事15万〜25万円を足して、およそ50万円から80万円。補助金が使えれば、ここから数万円引ける場合があります。
毎年のランニングコストは、燃料代が約5万円、メンテナンスが約2万円で、年間7万円前後。火力を大きめに使う方、シーズンが長い地域の方は、11万円くらいまで見ておいたほうがいいでしょう。
薪ストーブと並べてみます。薪ストーブは煙突だけで50万円から80万円。本体を足せば、初期費用は100万円を超えることも珍しくありません。薪の調達コストは自分で割るかどうかで大きく変わりますが、購入すれば年間10万円以上になる。ペレットストーブのほうが、初期費用もランニングコストも抑えやすいのは確かです。
安い買い物ではありません。でも、10年使えば1シーズンあたりの初期費用は5万円から8万円です。ランニングコストと合わせても、年間12万円から19万円。この金額で、木の火が見える冬が手に入る。それが高いか妥当かは、使う方の判断です。
数字は全部出しました。あとはうちのショールームに来て、実際に火にあたって、決めてもらえればと思います。



