ペレットストーブの相談で、最初に聞かれることはだいたい決まっている。「いくらかかりますか」。本体、工事、燃料、メンテナンス。全部まとめて、正直に書く。盛岡で20年、薪ストーブとペレットストーブの両方を扱ってきた経験から、隠さずに出す。
本体の値段:30万〜70万円の幅
ペレットストーブの本体価格は、税抜でおよそ30万〜70万円。幅が広いのは、暖房能力・デザイン・機能がそれぞれ違うから。エアコンと同じで、6畳用と20畳用では値段が違う。それだけの話だ。
当社で扱っているシモタニ製を例に出す。
| 機種 | 税込価格 | 暖房の目安 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| EM2 | 363,000円 | 10〜20畳 | コンパクト。初めての一台に向く |
| ALCOTT | 544,500円 | 20〜30畳 | 炎が大きく見える。リビングの主役になる |
| MAY | 726,000円 | 30畳〜 | 大空間向け。吹き抜けのある家に |
30万円台から始められるというのは、薪ストーブと比べるとかなり入りやすい。薪ストーブの本体は60万〜120万円が中心帯だから、ペレットストーブはその半分以下から選べる。
設置工事の費用:15万〜25万円
ペレットストーブの設置工事は、税抜で15万〜25万円が目安になる。ここが薪ストーブとの一番大きな違いだ。
薪ストーブは煙突工事だけで50万〜80万円かかる。屋根まで二重断熱煙突を立ち上げるから、どうしてもそうなる。一方、ペレットストーブの排気筒は壁を抜くだけで済む。直径も細く、部材も安い。だから工事費がぐっと下がる。
工事費に幅があるのは、炉台の仕上げや壁の補強、排気筒の取り回しが家ごとに違うから。現場を見ないと正確な金額は出せないが、薪ストーブのように「工事費だけで本体を超える」ということはまずない。
初期費用のざっくり合計
本体30〜70万+工事15〜25万=およそ50万〜80万円(税抜)で始められる。薪ストーブの初期費用(120万〜200万円)と比べると、半分以下に収まることが多い。
電気代の話:動かすためだけの電気
「ペレットストーブって電気代かかるんですか?」とよく聞かれる。答えは、かかるがごくわずか。
ペレットストーブが電気を使うのは3つの場面だけだ。
- 着火:点火ヒーターでペレットに火をつける(数分間)
- 送風:燃焼用の空気を送るファンと、温風を出すファン
- 制御:温度センサーやタイマーの電子基板
消費電力は運転中で100W前後。着火時だけ一時的に上がるが、燃焼が安定すれば下がる。1日8時間つけたとして、電気代は1日30〜40円程度。ひと月で1,000円前後。暖房の主役としては驚くほど安い。
暖房のエネルギーそのものはペレットが燃えて出す熱だから、電気はあくまで「動かすため」に使っているだけ。エアコンやオイルヒーターとはそもそも仕組みが違う。
停電したらどうなるか
電気で制御しているから、停電すると止まる。ただし、安全装置が働いてペレットの供給が止まり、燃焼中のペレットが燃え尽きて自然に消える。薪ストーブのように燃え続けることはない。再通電すれば、ボタン一つでまた点く。
停電が心配な方には、小型のポータブル電源(1,000W以上)を備えておくことを勧めている。ペレットストーブの消費電力なら、ポータブル電源でも数時間は動かせる。
1シーズンの燃料代
ペレットストーブの燃料は木質ペレット。おがくずや間伐材を圧縮して固めた燃料で、1袋10kgが基本単位。
| 項目 | 目安 |
|---|---|
| ペレット単価 | 1袋10kg=750〜850円(500円未満の会社もある) |
| 1時間の消費量 | 約1kg(弱運転)〜2kg(強運転) |
| 1日の消費量 | 8〜16kg(8時間運転の場合) |
| 1シーズンの消費量 | 約600〜1,000kg |
| 1シーズンの燃料代 | 約4.5万〜8.5万円 |
岩手の冬は11月から4月まで約5ヶ月。1日8時間、平均消費1.2kg/時で計算すると、1シーズンで約1,400kg。ペレット代は10万円を超えることもある。ただし、これはフル稼働の話。実際は暖かい日は消したり弱くしたりするから、5万〜7万円あたりに落ち着く家庭が多い。
灯油と比べるとどうか
灯油ファンヒーターと単純比較すると、ランニングコストはペレットのほうがやや高い。灯油1Lあたり100円前後(2026年時点)に対し、ペレットは同じ熱量を出すのにもう少しかかる。
ただし、ペレットストーブは輻射熱で部屋全体をじんわり暖めるから、体感温度が違う。設定温度を下げても暖かく感じる。灯油ファンヒーターの20℃とペレットストーブの18℃が同じくらいの体感になる、という話はお客様からよく聞く。
「夏買い」のコツ
ペレットは夏に買うと安い。冬場は需要が集中して品薄になることもあるが、夏なら在庫に余裕があり、まとめ買い割引をしてくれる販売店もある。1トン(100袋)単位で買えば、1袋あたり100円以上安くなることも珍しくない。
保管場所さえあれば、シーズン前にまとめて買っておくのが一番賢い。ペレットは湿気さえ避ければ何年でも持つ。ガレージや物置に積んでおけばいい。
ペレット定期便:買いに行く面倒がなくなる
「ペレットってどこで買うんですか?」これもよく聞かれる。ホームセンターに置いてあることもあるが、岩手の場合、ペレット工場が県内にいくつかある。直接買いに行くか、配達してもらうか。
最近は定期便をやっている販売店も増えた。月に1回、決まった量を届けてくれる。灯油の定期配達と同じ感覚だ。重い袋を車に積んで運ぶ必要がなくなるから、年配の方や、販売店が遠い方には特に助かる仕組みだと思う。
当社でもペレットの手配についてはご相談に乗っている。地域のペレット工場を紹介することもできるし、まとめ買いの段取りも手伝う。
メンテナンスの費用:年1回、2万円前後
ペレットストーブは機械だから、定期的なメンテナンスが要る。年に1回、シーズン終わりに点検と清掃をするのが基本。費用は税抜で2万円前後。
メンテナンスの中身は、燃焼室の灰の除去、排気筒の掃除、ファンの点検、ガスケット(パッキン)の確認、電子部品の動作チェック。薪ストーブの煙突掃除(3万〜5万円)と比べれば安い。
消耗部品のリスト
ペレットストーブには寿命のある部品がいくつかある。壊れてから慌てるより、あらかじめ知っておいたほうがいい。
| 部品 | 交換目安 | 費用(税抜) |
|---|---|---|
| 点火プラグ(イグナイター) | 3〜5年 | 10,000〜20,000円 |
| 燃焼ポット | 3〜5年 | 10,000〜30,000円 |
| 送風ファン | 5〜10年 | 15,000〜30,000円 |
| ガスケット(パッキン) | 2〜3年 | 5,000〜10,000円 |
| 温度センサー | 5〜10年 | 5,000〜15,000円 |
毎年全部壊れるわけではない。年間の部品代は平均すると5,000〜10,000円程度。メンテナンス費と合わせて、年間のランニングコストとして3万円前後を見ておけばいい。
補助金:自治体の助成金を探す
ペレットストーブの購入に補助金を出している自治体がある。岩手県内でも、市町村によって制度が違う。出るときは本体価格の1/3〜1/2、上限10万〜20万円というケースが多い。
補助金は年度ごとに予算が決まっていて、予算がなくなれば終了する。4月〜5月に募集が始まり、秋には締め切るところも多い。設置を考えているなら、早めに調べておくのが得策だ。
助成金の探し方
- お住まいの市町村の公式サイトで「ペレットストーブ 補助金」「木質バイオマス 助成」で検索
- 環境課・農林課・エネルギー政策課あたりが窓口になっていることが多い
- 「再生可能エネルギー」「森林資源活用」の枠で出ている場合もある
- 県の補助と市の補助を併用できる場合もあるので、両方確認する
当社に相談いただければ、これまでの事例から使える制度をお伝えできる。申請書類の書き方も手伝う。
トータルコスト:初年度と2年目以降
全部まとめて表にする。
| 費目 | 初年度 | 2年目以降(毎年) |
|---|---|---|
| 本体 | 30〜70万円 | ― |
| 設置工事 | 15〜25万円 | ― |
| ペレット代 | 5〜8万円 | 5〜8万円 |
| 電気代 | 約0.5万円 | 約0.5万円 |
| メンテナンス | ―(初年度は不要) | 約2万円 |
| 消耗部品(平均) | ― | 0.5〜1万円 |
| 合計 | 約50〜103万円 | 約8〜12万円 |
※価格は税抜。補助金を使えば初期費用はさらに下がる。
10年で考える
ペレットストーブの耐用年数は、きちんとメンテナンスすれば15年以上。10年で計算してみる。
| 項目 | 10年間の合計 |
|---|---|
| 初期費用(本体+工事) | 50〜80万円 |
| 燃料代(9シーズン分) | 45〜72万円 |
| 電気代(9シーズン分) | 約4.5万円 |
| メンテナンス(9回分) | 約18万円 |
| 消耗部品 | 5〜10万円 |
| 10年間合計 | 約122〜185万円 |
| 1年あたり | 約12〜18万円 |
※初年度の燃料・電気代は初年度トータルに含めている。2年目以降の9シーズン分で計算。
年間12万〜18万円。月にすると1万〜1.5万円。炎のある暮らしの値段としては、思ったより現実的だと感じる方が多い。
よくある質問
- Q. 薪ストーブとペレットストーブ、どっちが安い?
- 初期費用はペレットストーブのほうが安い。50万〜80万円に対し、薪ストーブは120万〜200万円。ランニングコストは、薪を自分で調達できるなら薪ストーブが安いが、薪を買うなら大差ない。
- Q. ペレットはどこで買える?
- 岩手県内にはペレット工場が複数ある。ホームセンターで扱っている店もある。当社でも地域の販売先をご紹介できる。定期便を利用すれば、買いに行く手間もなくなる。
- Q. 灯油ファンヒーターより高い?
- ランニングコストだけ見れば灯油のほうが安い。ただしペレットストーブは輻射熱で部屋全体を暖めるから、体感温度が高く、設定温度を下げられる。光熱費トータルで見ると差は縮まる。そして炎がある。
- Q. 停電したら使えない?
- 停電すると安全に停止する。再通電すればボタンひとつで再点火できる。心配な方にはポータブル電源(1,000W以上)を備えておくことを勧めている。
- Q. メンテナンスは自分でできる?
- 日常の灰の処理や燃焼ポットの掃除はご自身でできる。年1回のシーズン点検は、排気筒の内部清掃やファンの状態確認があるので、プロに任せたほうがいい。
- Q. 補助金はいつ申請すればいい?
- 多くの自治体で4月〜5月に募集が始まる。予算がなくなり次第終了するところが多いので、設置を決めたら早めに動くこと。購入前の申請が条件になっている場合がほとんどだから、買ってからでは遅い。
- Q. マンションにも付けられる?
- 排気筒を壁から外に出す必要があるため、マンションは管理組合の許可が要る。戸建てなら、ほぼすべての家に設置できる。
まとめ
ペレットストーブは、薪ストーブほど手間もお金もかからない。初期費用50万〜80万円、年間の維持費8万〜12万円。月に1万円ちょっとで、炎のある冬が手に入る。
薪を割る体力も、薪を置く広い庭も要らない。ボタンひとつで火が点いて、タイマーで消える。それでいて、窓から見える炎は確かな火だ。
岩手の冬は長い。その長い冬を、炎を眺めながら過ごすか、ファンヒーターの前で丸くなるか。費用の差は、思ったほど大きくない。
ペレットストーブの費用について、もっと詳しく知りたい方はお気軽にご相談ください。現場を見て、お住まいに合った機種と正確な見積もりをお出しします。


