これまで紹介してきたKIHDコホートの報告には、心臓や脳だけでなく、呼吸器についてのものもあります。COPD(慢性閉塞性肺疾患)、喘息、肺炎。この三つをまとめて「呼吸器疾患」として扱った研究です。

2017年、European Journal of Epidemiology誌の報告
Kunutsor、Laukkanenらによる論文が、2017年にEuropean Journal of Epidemiology誌に掲載されています。サウナ入浴の頻度と、呼吸器疾患(COPD・喘息・肺炎のいずれか)の発症との関連を調べた長期の追跡研究です。
結果は、週1回以下の群を基準に、週2〜3回の群でハザード比0.73、週4回以上の群でハザード比0.59と報告されています。呼吸器の主要な危険因子で調整したうえでの数字です。数字が1.00より小さいほど、その群での発症が少なかったことを示します。
この数字が、何を示していないか
ここでも同じ注意が必要です。これは観察研究であり、サウナに頻繁に入る人たちと、そうでない人たちを比較した記録です。もともとの体力、喫煙習慣の違いなど、測りきれない要因が残っている可能性があります。また対象はフィンランドの中年男性に限られ、女性や他の年齢層、他の地域の人々には当てはまるか分かりません。
もうひとつ、はっきりさせておきたいことがあります。この研究が扱っているのは、健康な人が長期的にサウナに入る習慣と、将来の呼吸器疾患の発症との関連です。すでに呼吸器の病気を持っている方が、高温多湿の環境に入ることが安全かどうかとは、まったく別の話です。COPDや重い喘息をお持ちの方は、熱い空気やロウリュの蒸気が症状に影響することがあります。この研究結果を理由に、既往のある方が無理に長時間入ることはおすすめしません。
岩手の冬と、呼吸器の負担
冬の岩手では、空気の乾燥と急激な温度差が、喉や気道に負担をかけます。外は氷点下、家の中は暖房で乾いた空気。この往復が、呼吸器にとって決して優しい環境ではないことは、暖房を扱う仕事をしていて実感するところです。
サウナが呼吸器の病気を防ぐと約束することはできません。ただ、続けやすい入浴習慣を持つこと自体には、生活の質という面で意味があると考えています。ロウリュで蒸気を含んだ空気に触れる時間があることも、乾燥した冬の生活の中で、一つの違う環境を持つことにはなります。
よくあるご質問
Q. 喘息やCOPDがあっても、サウナに入れますか。
この研究は、既往のある方の安全性を示したものではありません。呼吸器の病気をお持ちの方は、入る前に必ず主治医にご相談ください。熱い空気や蒸気が症状に影響することがあります。
Q. 「週4回以上」という数字を目標にすべきですか。
目標にする数字ではありません。観察研究が示した関連であり、健康な方がどのくらいの頻度でサウナに入っていたかを後から数えた結果です。無理に回数を増やすことより、続けやすい環境を持つことのほうが大切だと考えています。
Q. 冬に風邪をひきやすいのですが、関係がありますか。
この研究の対象はCOPD・喘息・肺炎で、いわゆる風邪(感冒)とは異なります。日常的な風邪の予防効果を示すものではありません。
D'STYLEは盛岡でサウナと薪ストーブを扱っています。呼吸器に不安のある方には、まず低めの温度から試していただくなど、無理のない使い方をご提案しています。ご相談は無料です。
参照した研究
- Kunutsor SK, Laukkanen T, Laukkanen JA. European Journal of Epidemiology. 2017(KIHDコホートを用いた長期追跡研究。呼吸器疾患をCOPD・喘息・肺炎のいずれかと定義。週1回以下の群を基準に、週2〜3回群でハザード比0.73、週4回以上群で0.59と報告。呼吸器の主要な危険因子で調整)
この記事は研究の紹介であり、呼吸器疾患の予防・治療効果を保証するものではありません。持病のある方、通院中・服薬中の方は、主治医にご相談のうえご利用ください。



