「サウナは体にいい」と昔から言われてきましたが、それを大規模な数字で確かめてみせたのは、やはりサウナの国でした。今日は、フィンランド・クオピオ発の有名な追跡研究の話です。出所を先に書きます。東フィンランド大学のヤリ・ラウッカネン博士らが医学誌JAMA Internal Medicine(2015年)に発表した研究で、サウノロギア(saunologia.fi)はじめ世界中のサウナ関係者が繰り返し参照している論文です。フィンランドには「酒とタールとサウナで治らないなら、その病は治らない」という古いことわざがあります。その言い伝えを、現代の医学が数字で裏づけた形でした。
2300人を、20年以上追いかけた
研究の舞台はフィンランド東部のクオピオ地方。この地で長く続けられてきた「クオピオ虚血性心疾患リスク研究(KIHD)」の一環で、42歳から60歳の中年男性およそ2300人にサウナの習慣を聞き取り、その後20年あまり、追跡期間の中央値でおよそ20年にわたって健康状態を追いかけました。結果は明快でした。サウナに週2〜3回入る人は週1回の人より、そして週4〜7回入る人はさらに、心臓突然死や心血管疾患による死亡のリスクが低かった。数字でいえば、週4〜7回の人の心臓突然死のリスクは、週1回の人のおよそ半分と報告されています。
週4回と、19分という目安
入る時間にも差が出ました。一回あたり19分を超えて入る人のほうが、11分未満の人より良好だったのです。頻度も時間も、「よく温まっている人ほど、心臓の調子を保ったまま長生きしていた」。この研究は、ざっくり言えばそう報告しています。ただし19分はあくまで平均の話で、義務にして時計とにらめっこするための数字ではありません。長く入るより、気持ちよく何度も。体が心地よいと言う長さを、いちばんに大切にしてください。
数字の読み方は、正直に
この研究の読み方も、正直に書きます。これは観察研究なので、「サウナが原因で健康になった」とまで断定はできません。サウナによく入れる人はもともと元気、という面も混ざります。ただ、研究チームは喫煙や運動、持病といった生活習慣の影響を統計的に調整してもなお差が残ったと報告しています。温まって血管が広がり、心拍が軽い運動なみに上がる。サウナが「座ってできる散歩」と呼ばれる理由です。持病のある方や薬を飲んでいる方は、かかりつけ医と相談のうえで。これはフィンランドの研究者たち自身が添えている注意書きでもあります。
心臓の先、血管や脳の話
クオピオの研究は、その後も広がっていきました。同じラウッカネン博士らのグループは、サウナによく入る人ほど高血圧になりにくいこと(2017年、American Journal of Hypertension)、さらに脳卒中のリスクが低いこと(2018年、Neurology誌)も報告しています。温熱で血管の内側がしなやかに働き、血圧が穏やかに保たれる。心臓だけでなく、その先の血管や脳まで、あたたかさの恩恵は届いているようです。ひとつの入浴習慣にこれだけの研究が積み重なっているのは、心強い話です。
数字より大事な、続けたくなる気持ちよさ
この研究のいちばんの示唆は、「継続」が鍵だということです。週4回という数字は、義務にしたら続きません。フィンランド人が週に何度も入るのは、健康のためというより、気持ちいいからです。気持ちいいから続く、続くから体にいい。この順番が本物です(頻度の話)。自宅にサウナがあると、この「気持ちいいから続く」が、いちばん無理なく実現します。
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写真: Estoniansaunas (Wikimedia Commons, CC BY-SA 4.0)



