薪ストーブの暮らしで、いちばん故障が多い部品はどこか。ストーブ本体でも煙突でもなく、持ち主の腰です。冗談のようで、本当の話。ひと冬に何トンもの薪を運ぶのですから、運び方が雑なら、腰は必ず抗議してきます。今日は、薪運びの体の使い方。これは根性ではなく、技術の話です。
持ち上げ方の、四つの基本
ぎっくり腰の定番の場面は、地面の薪を、立ったまま前かがみで持ち上げる瞬間です。基本を四つ。一、しゃがんで持つ。腰を曲げるのではなく、膝を曲げて腰を落とし、脚の力で立ち上がる。二、体に密着させる。薪を抱える位置が体から離れるほど、腰への負担は倍増します。お腹に抱きかかえるように。三、持ったままひねらない。向きを変えるときは、腰をねじらず、足ごと向き直る。四、欲張らない。一度に六本抱えて一往復より、三本ずつ二往復。時間の差はわずか、腰への差は絶大です。どれも介護や荷役の世界で確立された、体の使い方の定石です。
道具は、文明の利器を遠慮なく
素手で抱えるのは、実はいちばん下手な運び方です。ログキャリー(薪運び用の帆布バッグ)なら、両手で提げて姿勢が保て、木くずも服につかない。屋外の薪棚から玄関までは、一輪車やガーデンカートが革命的に楽です。雪の季節は、プラスチックのソリが雪国の知恵。子どもにソリ係を任せれば、遊びと仕事が一石二鳥です。(薪仕事を楽しみに変える話は、薪割りの話。)
動線が、毎日の負担を決める
そして、運び方より効くのが、運ぶ距離を縮めることです。薪棚から勝手口まで、勝手口からストーブまで。この動線が一冬に何百往復にもなります。よく使う数日分の薪は、家の入口近くの中継ラックに。ストーブ脇のログラックには、さらに一日分。大きな移動は週末に道具でまとめて、平日は短い距離を軽く。この三段構えで、毎日の薪運びは「ついで」の労働になります。(室内の薪置きの話は、火の道具の話。)
温めと、ほぐしも忘れずに
それでも腰が張った日は、ためらわずサウナと風呂で温めて、軽く伸ばす。急な激痛のときは温めず安静、の線引きも忘れずに。(腰痛とサウナの話。)薪の暮らしは、腰と長い付き合いです。技術と道具で、どうか大切に。
暮らしの設計から、お手伝いします
岩手・盛岡のD'STYLEは、薪ストーブの設置のとき、薪棚の位置と動線のご相談にも乗っています。腰にやさしい薪の暮らし、最初の設計から一緒に。ご相談、いつでもどうぞ。



