日記が三日で終わる。手紙を書こうと思って何か月も経つ。書きたい気持ちはあるのに、いざ机に向かうと、一行目が出てこない。今日は、書くこととサウナの話です。結論はシンプルで、書くのに向いた頭というものがあり、サウナ上がりの頭は、そのひとつなのです。
書けないのは、頭が散らかっているから
文章が出てこないときの頭の中は、たいてい、散らかっています。今日の残りタスク、さっきのやりとりのもやもや、さっき見た画面の断片。この雑念の山の中から言葉を探すから、一行目が重いのです。逆に、シャワー中や散歩の途中に、ふと言い回しが浮かんだ経験はありませんか。手を止めて頭を遊ばせているときほど、言葉は向こうからやってくる。雑念の少ない頭は、言葉の通りがいいのです。つまり書く前に必要なのは、気合いではなく、頭の掃除でした。
ととのった頭は、文章の通り道
サウナと水風呂と外気浴は、この掃除を強制的にやってくれます。熱で思考が止まり、冷水でいったんリセットされ、外気浴で頭が静かに晴れていく。この直後の頭は、余計な声が減って、自分の本当に思っていることが、すっと言葉になります。書き出しの重さが、明らかに違う。考えごとの整理にサウナが効く理屈(決断の話)と同じで、書くことは、整理したものを外へ出す出口なのです。作家や研究者に、散歩や入浴を日課にする人が多いのも、たぶん同じ理由でしょう。体をゆるめて頭を空にした先に、言葉の入口がある。サウナは、その状態を、もっとも手早く確実に作ってくれる装置なのです。
朝の頭も、書くのに向いている
書くのに向いた頭は、もうひとつあります。朝、目覚めた直後の頭です。作家のジュリア・キャメロンは著書『ずっとやりたかったことを、やりなさい。』で、起きてすぐ思いつくままに書き綴る「モーニング・ページ」という習慣を勧めました。まだ理屈が回りだす前の、寝起きのぼんやりした頭は、内側の検閲がゆるく、本音がこぼれやすい。サウナ上がりの頭と、朝いちばんの頭。この二つは、静けさという一点で、よく似た兄弟です。どちらも、一日のうちで頭がいちばん散らかっていない時間なのです。
おすすめは、外気浴後の三行日記
実践は、小さく始めましょう。おすすめは、サウナ上がりの三行日記です。順天堂大学の小林弘幸医師が広めた「三行日記」は、今日いちばんの失敗、感動、明日の目標を各一行書くだけの型で、続けやすさが身上です。湯冷めしない部屋着になって、白湯を片手に、ノートに三行。今日良かったこと、気になっていること、明日のひとつ。ととのった頭で書く三行は、疲れた深夜に絞り出す十行より、正直で、あたたかい。サウナ日記(こちら)と合体させて、サ活の記録と今日の三行、という形も続けやすい型です。
手紙を書くなら、この頭で
そして、もし書きあぐねている手紙があるなら。お礼状、久しぶりの便り、言いにくいお願い。それこそ、ととのった後の頭で書いてください。火のそばの机で、静かな頭で綴った手紙は、文面がやわらかくなります。書き終えたら、投函は翌朝に。ととのった頭で書き、覚めた頭で読み直す。この二段構えは、大事な文章ほど効きます。急いで送ったひと言が、あとで悔やみのもとになることは、誰にでもあります。ひと晩寝かせる余裕を、ととのいがくれるのです。手書きの一枚には、活字のメールが束になっても届かない温度があります。(火のそばの手仕事の話は、こちら。)
書ける夜を、あなたの家に
岩手・盛岡のD'STYLEは、ハルビア岩手県正規代理店として、頭の掃除装置つきの書斎環境、つまりサウナと火のある家をお手伝いしています。三行から、始めませんか。ご相談、いつでもどうぞ。
写真: Benlisquare (Wikimedia Commons, CC BY-SA 4.0)



