サ飯の旨さ、盛岡の麺の実力は、これまで書いてきたとおりです。今日は、その先の楽しみ。自炊サ飯のすすめです。サウナ上がりの敏感な舌で、自分で作って、自分で食べる。実はこれ、料理の腕が上がる近道でもあるのです。
ととのった舌は、うそをつかない
サウナ後の五感の冴えは、味覚にも及びます。だしの香り、塩の輪郭、素材の甘み。ふだんは調味料の濃さに隠れている微細な味が、くっきり分かる。この状態で自分の料理を食べると、味付けの答え合わせが、いつもより正確にできます。「あ、これは塩が強かった」「だしが効くと、こんなに違うのか」。ととのった舌は、正直な先生です。週に数回、この先生に採点してもらっていると、味付けの勘は、確実に育っていきます。腕は、場数より、いい味見で伸びるのです。
だしが、いちばんのごちそうになる
ととのった舌で飲むと、真価が分かるのが、だしです。昆布と鰹でていねいに引いた一杯の吸い物。ふだんなら通り過ぎてしまう繊細な旨みが、サウナ後の舌には、はっきりと沁みてきます。和食が世界に誇るこの旨みの文化を、体で理解する入り口として、サウナは最高のきっかけです。市販のだしパックでも、丁寧に取れば十分。「だしって、こんなにうまかったのか」と気づいた夜から、あなたの台所は、確実に一段おいしくなります。だしが決まると、塩や醤油は少なくて済み、素材そのものの味が立ってくる。濃い味に頼らなくても満足できるようになるのは、体にも、うれしい変化です。ととのった舌は、そういう引き算のおいしさを、素直に教えてくれます。
自炊サ飯の、基本設計
サウナ後の体が求めるものから逆算すると、自炊サ飯の設計図はこうなります。水分と塩分を含む汁もの(味噌汁、スープ、鍋)。すみやかなエネルギーの炭水化物(米、麺)。回復の材料のタンパク質(卵、肉、魚、豆腐)。つまり、定食の形です。凝る必要はありません。豚汁とごはんと漬物。鮭を焼いて、味噌汁。ととのった舌には、この素朴な定食が、驚くほどのごちそうに化けます。(食事の時間割は、こちら。)
一汁一菜で、十分すぎる
自炊と聞くと身構えますが、サ飯にごちそうは要りません。むしろ、簡素なほうが体に合います。温かい味噌汁に、ごはんと、常備菜がひと品。卵かけごはんに、わかめの味噌汁。冬なら、鍋をひとつ囲めば、汁も具もタンパク質も一度に片づく。外食に比べて塩分も油も自分で加減でき、財布にもやさしい。手が込んでいるかどうかより、体が喜ぶかどうか。ととのった舌は、飾らない一汁一菜を、いちばんのごちそうだと教えてくれます。品数を競うより、湯気の立つ汁ものをひとつ、心を込めて。それだけで、サウナ後の食卓は、じゅうぶんに満ち足ります。
下ごしらえは、サウナ前に
段取りのコツをひとつ。調理の主要部分は、サウナ前に済ませておくことです。鍋の仕込み、米のセット、汁の下ごしらえ。サウナから上がって、火を入れて数分で食卓につける状態にしておく。薪ストーブの家なら、天板でことこと保温しておけば完璧です(待たせる力の話)。ととのった直後に包丁仕事から始めるのは、せっかくの脱力がもったいないですから。上がったら、よそって、食べるだけ。これが理想の流れです。
台所まで含めて、サウナ暮らし
サウナで整い、自分の台所の一汁一菜で締める夜。外食のサ飯の楽しみとは別の、静かな充実があります。岩手・盛岡のD'STYLEは、ハルビア岩手県正規代理店として、台所と地続きのサウナ暮らしをお手伝いしています。あなたの得意サ飯、店で教えてください。ご相談、いつでもどうぞ。
写真: Igor todorovski (Wikimedia Commons, CC BY-SA 4.0)



