サウナ上がりの一杯といえば、キンキンに冷えた水、炭酸、オロポ。あの喉ごしは、まぎれもなくサウナの醍醐味です。でも今日は、その王道にそっと並べたい、地味な一杯の話をします。白湯です。ただのお湯と笑うことなかれ。夜のサウナの締めくくりとして、白湯は驚くほど、いい仕事をします。

冷たい一杯が、向かない場面
サウナ後の体は、たっぷり汗をかいて、水分を欲しがっています。ここで冷たい一杯を一気に流し込むと、爽快ではあるのですが、場面によっては裏目に出ることもあります。まず、胃。熱のなかでがんばったあとの内臓に、氷水の一気飲みは、なかなかの急ブレーキです。お腹が弱い方が、サウナ後にお腹をこわしやすいのは、たいていこれ。そして、夜。これから眠ろうという体を、内側から強く冷やしてしまうと、せっかくの「深部体温がゆるやかに下がっていく」という眠りのリズムに、余計な波を立てることがあります。昼の爽快には冷たい一杯、夜の締めにはやさしい一杯。ここは、上手に使い分けたい場面です。とくに、冷えに悩む方や、胃腸が疲れぎみの日は、冷たい刺激をひと休みして、温かい一杯に切り替えるだけで、体の楽さがずいぶん変わります。
白湯は、いちばん吸収にやさしい
白湯のいいところは、体温に近い温度のまま、すっと体に入っていくことです。冷たい水のように胃を驚かせず、水分がおだやかに全身へ巡っていく。サウナで乾いた体に、じんわりと水が染みわたっていく感覚は、冷たい一杯の爽快とは、まったく別種の心地よさです。飲み方は、少しずつ、ふうふうと冷ましながら。この「ゆっくりしか飲めない」ことが、じつは大きな美点で、ととのいの余韻を、長く長く引き延ばす時間にもなります。夜のサウナのあと、白湯を一杯すすってから布団に入ると、眠りの入り口が、するりと滑らかになる。飲み終えるころには、指先までぽかぽかしています。もの足りなければ、ひとつまみの塩や、レモンを少しだけ。汗で失ったものを、やさしく補えます。(睡眠の話はこちら、水分補給の基本はこちら。)
鉄瓶の白湯という、岩手の贅沢
そして、盛岡に暮らす私たちには、白湯の切り札があります。南部鉄器の鉄瓶で沸かした白湯です。鉄瓶で沸かした湯は、角がとれてまろやかになり、ほんのり甘い。しかも、湯に溶け出したごく微量の鉄分まで、いっしょに補給できると言われます。薪ストーブの天板に鉄瓶をのせておけば、暖房のついでに、ことこととお湯が沸く。その一杯を、サウナ上がりにゆっくりいただく。冷たい派の方も、一度この組み合わせを試すと、夜はこちら、という日が確実に増えるはずです。火と、鉄と、湯。岩手の道具立てが、そろい踏みする一杯です。(鉄瓶の話は、こちら。)
昼はキンキン、夜は白湯
結論は、対立ではなく、使い分けです。休日の昼サウナや、汗だくの真夏には、冷たい一杯の、あの突き抜ける爽快を。平日の夜、そのまま眠りへ向かう締めには、白湯のやさしさを。その日の時間帯と、体の状態に合わせて選ぶ。締めの一杯まで意識して選べるようになったら、あなたのサウナは、もう立派な暮らしの道具です。同じサウナでも、締め方ひとつで、翌朝の目覚めまで変わってきます。
締めの一杯まで、おいしい家を
岩手・盛岡のD'STYLEは、ハルビア岩手県正規代理店として、毎晩の「いい締め」ができるサウナの設置をお手伝いしています。サウナと薪ストーブと鉄瓶。岩手の夜の三点セット、心からおすすめです。冷たい一杯も、白湯の一杯も、自分の家なら好きに選べます。ご相談はいつでもどうぞ。
写真: Weldon Kennedy from London, UK (Wikimedia Commons, CC BY 2.0)
