面白い偶然があります。世界一サウナに入る国フィンランドは、実は、国民一人あたりのコーヒー消費量でも世界のトップクラスの常連なのです。サウナとコーヒー。あの国の人たちは、蒸気と一緒に、大量のコーヒーを飲みながら暮らしています。今日は、サウナとコーヒーの付き合い方。好きな人にはたまらない、二つの香りの時間割です。

フィンランドの、コーヒー休憩
フィンランドには「カハヴィタウコ(コーヒー休憩)」という言葉があり、職場でのコーヒー休憩が労働協約で守られているほどのコーヒー文化圏です。国際コーヒー機関の統計でも、一人あたりの年間消費量は毎年のように世界の首位を争い、一日に何杯も飲むのが当たり前。サウナのあとに、家族や友人とコーヒーを囲み、カルダモンの香るパン「プッラ」やシナモンロールの「コルヴァプースティ」を添えるのも、ごく当たり前の光景です。深く濃く煎るより、明るく浅めに煎った軽い味を、たっぷり飲むのが北欧流。ロウリュの木の香りと、挽き立ての豆の香り。あの国の暮らしの香りは、この二つでできていると言ってもいいくらいです。
サウナ前の一杯は、目覚ましに
時間割の話をしましょう。まず、サウナ前のコーヒー。休日の昼、これからしゃきっと汗をかきたいときの一杯は、良い相棒です。カフェインが効きはじめるのは飲んで二十〜三十分後、血中の濃度がいちばん高まるのは四十分前後と言われます。ちょうど一セット目の熱の中で、頭が冴えてきます。ただし、覚えておきたいのが利尿作用です。コーヒーは飲んだ以上に水分を連れ出すことがある飲み物。コーヒーを飲んだから水分補給は済んだ、とはならないのです。空腹すぎる胃に濃い一杯も、のぼせのもと。サウナ前は、軽く胃に何か入れて、コーヒーとは別に、水をコップ一杯。これが鉄則です。(水分の話は、こちら。)
サウナ後の一杯は、余韻の友に
そして、サウナ後。まず水で体を潤してから、外気浴の余韻の中で飲む温かいコーヒーは、格別です。ととのった舌は、豆の甘みと酸味を、いつもより細かく拾ってくれます。ふだんは素通りする花のような香りに、はっと気づく夜もある。サウナ後の味覚の冴えは、コーヒー好きにこそ試してほしい体験です。相棒には、少し甘いものを。シナモンロールやビターなチョコレートを一かけ添えると、豆の香りがいっそう引き立ちます。ただし、夜は別。カフェインが体の中で半分に減るまでにはおよそ四〜六時間かかると言われますから、夜サウナの締めの一杯は、コーヒーではなく白湯やカフェインレスに。せっかくの深い眠りの助走を、静かに守りましょう。(夜の締めの話は、白湯の話へ。)
薪ストーブの家なら、なお良し
薪ストーブの家なら、この時間割はさらに豊かになります。天板にのせたやかんの湯で、火の前の特等席に座ってハンドドリップ。豆を挽く音、立ちのぼる湯気、炎のはぜる音。五感がぜんぶ満たされます。淹れたてを一口、また炎を眺めて一口。急がず、時間を惜しまず飲むのが、火のそばのコーヒーの作法です。天板の隅に置いたカップは、最後まで冷めない。サウナで整えた体に、炎の暖かさと一杯の香り。休日の午後の三点セットとして、これに勝る組み合わせを、私たちはまだ知りません。(特等席の話は、こちら。)
香りの暮らしを、岩手で
岩手・盛岡のD'STYLEは、ハルビア岩手県正規代理店として、コーヒーの旨い暮らしごと、サウナの設置をお手伝いしています。盛岡は古くからの喫茶の街でもあります。名曲喫茶や自家焙煎の店を、地元の人が今も大事にしている土地。サウナ上がりの一杯を楽しみに、おすすめの一台のご相談、いつでもどうぞ。
写真: Ximonic (Simo Räsänen) (Wikimedia Commons, CC BY 3.0)



