キャンプ道具の中で、家の薪ストーブでいちばん出世する道具は何か。私たちの答えは、直火式ホットサンドメーカーです。パンに具を挟んで、火にかざして、両面こんがり。それだけの道具が、冬の家のおやつと軽食を、革命的に楽しくします。今日は、挟んで焼く魔法の話です。

魔法の正体は、圧着と直火
ホットサンドのうまさの正体は、二つです。一つ、圧着。具とパンが押し付けられて一体化し、かじった時に具が落ちない完全な食べ物になる。二つ、直火の焼き目。トースターの上火とは違う、鉄板に接した面のかりっと香ばしい焼き上がり。薪ストーブなら、熾火の上か天板で、ゆっくり数分ずつ。炎の強火は焦げの近道なので、静かな熾火が先生です(熾火の話)。焼き加減は、開けて確認していい。それができるのも直火式の気楽さです。
うまく焼く、ちょっとしたコツ
もう一段おいしく焼くコツを、いくつか。パンの外側になる面に、うすくバターを塗っておくと、驚くほどかりっと香ばしく仕上がります。具は、欲張って詰めすぎないのが正解。あふれた具がこぼれて焦げつく元になるからです。火加減は、勢いのある炎ではなく、落ち着いた熾火でじっくり。片面が焼けたら、ためらわず裏返して両面を均等に。焼く前にメーカーを少し予熱しておくと、パンがくっつきにくくなります。たったこれだけで、街のカフェに負けない一枚が、火のそばで焼き上がります。
残りものが、ごちそうに化ける
そして家庭での真価は、残りもの再生装置であることです。昨夜のカレーの残りは、チーズと挟めばカレーパンを超える何かに。きんぴら、肉じゃが、ポテトサラダ、餃子の余り。「これ挟んだらどうなる?」が、ぜんぶ実験になり、たいてい成功します。定番は、ハムチーズ、あんバター、りんごのバター焼き(りんご県の冬の傑作です。焼きりんごの話)。休日の昼、子どもに具の開発を任せると、火育(こちら)と昼食が同時に済みます。
挟んで広がる、世界の朝ごはん
パンに何かを挟んで焼く。この幸せは、世界中にあります。イタリアのパニーニ、フランスのクロックムッシュ、南インドの香ばしいグリルサンド。国は違えど、みんな挟んで焼いています。日本で直火式のホットサンドメーカーを広めたのが、バウルーという道具です。この変わった名前、じつはブラジルのバウルーという街に由来すると言われます。地球の裏側の街の名をまとった道具で、岩手の冬に、世界のサンドを焼いてみる。挟むものを一つ変えれば、台所にいながら小さな世界旅行ができます。挟んで焼く料理が世界中で愛されるのは、たぶん理由が単純だからです。パンと、そこにある何かと、火。この三つさえあれば、慎ましい日も豊かな日も、あたたかい一皿ができる。特別な材料も、難しい技術もいりません。薪ストーブの熾火の前で、家族がそれぞれ好きな具を挟んで、順番に焼く。焼き上がりを待つあいだの、あの他愛ないおしゃべりまで含めて、ホットサンドという幸せなのだと思います。
サウナの日の、軽食としても
サウナの日の食事は、腹五分が基本でした(こちら)。ホットサンド半分は、サウナ前の軽い腹ごしらえに、ちょうどいい塩梅です。上がってから、残りの半分と温かいスープ。挟んで焼くだけの道具が、サウナの日の台所を軽くしてくれます。
火の遊び道具、増やしませんか
焼き芋、焼きりんご、ラクレット、焙煎、ホットサンド。薪ストーブの遊び道具は、まだまだあります。岩手・盛岡のD'STYLEは、火の遊びがはかどる一台をお手伝いしています。おすすめのホットサンドの具、店で情報交換しましょう。ご相談、いつでもどうぞ。
写真: Jun Seita (Wikimedia Commons, CC BY 2.0)




