冬の外気浴は、岩手のサウナの醍醐味です。雪の庭、氷点下の空気、湯気の立つ体。ただ、気持ちよさの絶頂から体が冷えるまでの持ち時間は、裸のままだと短い。この持ち時間をぐっと延ばしてくれる道具が、サウナポンチョです。今日は、羽織りものの話。
ポンチョは、着る外気浴タイマー
サウナポンチョは、頭からかぶる大きな布の筒です。バスローブと違って前開きがなく、袖も最小限。この単純な形が良い仕事をします。着るのに三秒、脱ぐのに二秒。火照った体の熱をほどよく逃しつつ、風だけを防ぐ。体の表面には汗と水気が残ったままなので、気化の涼しさは感じ続けられて、でも風に体温を奪われすぎない。つまり、ととのいの気持ちいい時間だけを引き延ばす道具です。冬の岩手なら、外気浴の三分が七分になる。この差は大きいです(冷やしの設計はこちら)。
なぜ、濡れた体は急に冷えるのか
ポンチョの働きは、気化熱と風で説明できます。濡れた肌の水分が蒸発するとき、体から熱を奪っていく。これが気化熱で、外気浴の涼しさの正体です。ここに風が加わると、温まった体まわりの空気が吹き飛ばされ、冷たい空気が次々と肌へ当たって、熱がどんどん逃げていく。裸の外気浴が数分で寒さに変わるのは、この気化熱と風のダブルパンチのせいです。ポンチョは、風の一撃だけを止めます。水気の蒸発による心地よい涼しさは残したまま、体温を根こそぎ持っていく風を遮る。だから、ととのいの余韻だけが長く続くのです。
選び方は、生地と丈で決まる
生地は大きく二派です。タオル地(コットン)は、肌ざわりが良く吸水も抜群。重さと乾きの遅さが弱点です。マイクロファイバーは、軽くて乾きが早く、持ち運びも楽。肌ざわりはタオル地に一歩譲ります。自宅サウナで毎日使うなら、洗い替えを考えて乾きの早いものが実用的。丈は、膝が隠れる長さを選んでください。太ももが出ていると、そこから冷えます。フードは、ぜひあるものを。濡れた頭は、冬の岩手ではいちばんの放熱口です。フードをかぶるだけで、外気浴の体感がひと回り温かくなります。
手入れは、乾かし方が九割
ポンチョの手入れは単純で、よく洗って、よく乾かす。これだけです。湿ったまま丸めておくのだけは避けてください。生乾きのにおいは、せっかくのサウナ時間の敵です。使ったら広げて掛けて、洗濯は他のタオル類と同じで大丈夫。薪ストーブのある家なら、ストーブの近くの物干しで一晩、ふっくら乾きます。火のある家は、こういうところで得をします。乾いた一枚を羽織る心地よさは、また格別です。
羽織って、外気浴を味わい尽くす
ポンチョの本当のごほうびは、延びた時間で何を味わうかにあります。風を気にせず座っていられると、外気浴はぐっと豊かになります。冬なら、雪が音を吸った静けさと、澄んだ星空。春は芽吹きの匂い、夏は虫の声、秋は落ち葉の気配。羽織りもの一枚で、季節の庭をゆっくり味わう余裕が生まれます。急いで体を冷まさず、心地よさの波が引いていくのを最後まで感じきる。深い呼吸を繰り返しながら、頭の中が静かになっていくあの時間こそ、サウナの醍醐味です。ポンチョは寒さよけの道具であると同時に、外気浴という静かな時間をていねいに味わうための、いわば座布団のような一枚。羽織って腰かければ、雪の庭がそのまま特等席になります。
冬の外気浴、装備からお手伝いします
岩手・盛岡のD'STYLEは、ハルビアのサウナヒーターの設置から、外気浴まわりの装備の相談まで、サウナのある暮らしをまるごとお手伝いしています。雪の中の外気浴を長く楽しみたい方、ポンチョの話をしに店へどうぞ。
写真: W.carter (Wikimedia Commons, CC BY-SA 4.0)



