サウナに入った夜の、あの眠りの深さ。布団に入って気づいたら朝、という体験は、サウナ好きの共通言語です。あれは気のせいではなく、体温の仕組みで説明がつきます。今日は、サウナと眠りの話。フィンランドのラウッカネン博士らが医学誌Mayo Clinic Proceedings(2018年)にまとめたサウナ入浴の総説でも、睡眠の質の改善はサウナの利点としてたびたび報告されると紹介されています。
眠気は、体温の下り坂に乗ってくる
人の体は、体の内部の温度(深部体温)が下がっていくときに眠くなるようにできています。夜、自然に眠くなるのはこの下り坂のおかげ。サウナはこの下り坂を、人工的に、より急に作れる道具です。サウナで深部体温をしっかり上げると、体は放熱を始め、上がったぶんだけ大きく下がる。この大きな下り坂が、強い眠気の波になります。手足がぽかぽかするのは放熱が始まった合図で、赤ちゃんが眠る前に手が温かくなるのと同じ現象です。
温かいお風呂の研究が、教えること
この体温の下り坂は、サウナに限りません。温かいお風呂でも同じことが起こります。2019年、テキサス大学のハグハイェグ博士らが医学誌Sleep Medicine Reviewsで、多くの睡眠研究をまとめて発表した内容によると、就寝の1〜2時間前に温かい湯につかった人は、寝つくまでの時間が平均して短くなる傾向があったといいます。温めて、少し時間を置き、体温が下がりはじめる頃に布団へ入る。お風呂もサウナも、眠りへの段取りは共通なのです。
コツは「寝る90分前に、上がる」
実用の目安はひとつだけ。サウナから上がる時刻を、布団に入る時刻のおよそ90分前にすることです。上がってすぐは体が火照って、むしろ寝つきにくい。90分ほどかけて体温が下り坂に入ったころ、ちょうど布団に入るのが黄金の段取りです。晩のサウナは、温度をいつもよりおだやかに、ロウリュ多めのしっとりした熱で(体感の話)。水分はしっかり補い(こちら)、寝酒代わりの深酒は眠りを浅くするので、サウナ後の一杯は軽めに。夜遅くの熱すぎるサウナと長すぎる水風呂は体を覚醒させるので、就寝直前は避けるのが賢い入り方です。
温冷交代が、心を夜へ向ける
眠りに必要なのは、体温だけではありません。心と神経の切り替えも要ります。日中に働きづめだった交感神経から、休息をつかさどる副交感神経へ。サウナで温まり、水や外気で涼み、深く呼吸を整える温冷交代の時間は、この神経のスイッチを、おだやかに夜側へ倒してくれます。頭の中で回りっぱなしだった一日の考えごとが、外気浴の椅子で少しずつほどけていく。体が下り坂に入り、心も店じまいを始める。この二つがそろったとき、眠りはいちばん深くなります。
フィンランドの夜が、静かな理由
フィンランドの家庭では、サウナは夕方から夜のものです。仕事と家事が終わり、サウナで温まって、軽い食事をして眠る。土曜サウナ(こちら)の夜など、国中が早く静かになると言われるほど。睡眠の悩みに、薬より先にサウナという選択肢がある暮らしは、なかなか豊かだと思うのです。フィンランドの子どもは、赤ん坊のころから親とサウナで温まり、そのまま眠る習慣の中で育ちます。温めて、涼んで、深く眠る。この当たり前の繰り返しが、国じゅうの夜を、静かで深いものにしているのでしょう。
眠りのためのサウナ、ご提案します
岩手・盛岡のD'STYLEは、夜の入り方に合うおだやかな熱の作り方まで含めて、ハルビアのサウナヒーターをおすすめしています。眠りの相談から始まるサウナ選び、大歓迎です。
写真: Vyacheslav Argenberg (Wikimedia Commons, CC BY 4.0)



