サウナで温まっていると、体がぽかぽかと軽くなり、手足の先まで血がめぐる感じがします。あの感覚には、はっきりした体の変化があります。血管が広がり、血流が増えているのです。今日は、サウナと血管の話。心臓の研究(こちら)の続きとして、血管の側から見てみます。出所を先に書くと、東フィンランド大学のラウッカネン博士らが医学誌に発表してきた一連の研究です。

熱が、血管を広げる
体が熱を受けると、皮膚の近くの血管が広がって、たくさんの血を体表へ送ります。熱を逃がして体温を保つための、体の冷却システムです。このとき心臓は拍動を速め、全身の血流はぐっと増えます。サウナの十数分で、心拍数は軽い運動をしたときと同じくらいまで上がることが報告されていて、サウナが「座ってできる運動」と呼ばれるゆえんです。血管が広がったり縮んだりを繰り返す運動は、血管そのもののしなやかさを保つ訓練にもなると考えられています。
研究が示した、血圧との関連
ラウッカネン博士らのグループは、サウナ習慣と血圧・血管の関係を調べてきました。医学誌アメリカン・ジャーナル・オブ・ハイパーテンション(2017年)などの報告では、サウナに入る頻度が高い人ほど、高血圧を新たに発症するリスクが低い傾向が示されています。別の研究では、サウナ入浴の直後に血圧や動脈の硬さの指標が下がることも観察されました。ここでも正直に添えると、これらは主に観察研究や短期の測定で、「サウナだけで血圧が治る」と言い切れるものではありません。もともと健康な人がよく入る、という面も混ざります。ただ、温めて血管を働かせることが体に良い方向に働く、という見立ては、多くの研究者が共有しています。
冷やしすぎない、という知恵
血管の話をすると、温冷交代浴(こちら)の冷やしも気になります。冷たい水は血管を急に縮めるので、温めた効果とセットで血管の運動になります。ただし急激すぎる冷えは心臓に負担をかけるので、慣れるまではおだやか に。頭から一気に浴びず、足先から。氷水より、ぬるめの水や冬の外気から始める(冷やしの設計)。血圧の薬を飲んでいる方や心臓に不安のある方は、始める前にかかりつけ医に相談を。これはフィンランドの研究者たちも論文の注意書きで必ず触れる点です。
水分は、血流の味方
血のめぐりを良くしたいのに、体の水分が足りないと、血はどろりと流れにくくなります。サウナの前後にコップ一杯ずつ、こまめに水分を(こちら)。汗をかく前に飲んでおくのが、めぐりの良いサウナのこつです。温めて、広げて、潤す。この順番が、血管にやさしい入り方です。
冷えやすい人ほど、めぐりを
手足の先が冷えやすいという声は、冬の岩手でよく聞きます。私自身、冷え性というわけではありませんが、冬場は手足が冷えたままサウナ室に入ることがよくあります。頭や体を洗っているうちに指先は少しずつ温まってきますが、足元はまだ冷たいまま。そういう状態でサウナに入ると、足先にピリピリとした感覚が走ります。これも、末端まで血がめぐっていく途中のサインなのだと思います。冷えは、末端まで血がめぐりにくいことと関わっています。サウナで全身を温めると、ふだん縮こまりがちな手足の血管まで血が行き渡り、上がったあともしばらく、じんわりとした温かさが続きます。この「温めてめぐらせる」体験を習慣にすると、体が自分で温める力を思い出していく、という考え方があります。運動が苦手な人、体を動かす時間が取りにくい人にとって、座って温まるだけでめぐりが良くなるサウナは、心強い味方です。無理のない範囲で、気持ちいいと感じる温度で、こまめに。それがめぐりを育てるいちばんの近道です(頻度の話)。
続けたくなる熱を、ご提案します
血管の健康にいちばん効くのは、たまの猛烈な一回より、気持ちいいから続く習慣です。岩手・盛岡のD'STYLEは、ハルビアのサウナヒーターで、毎日でも入りたくなるおだやかで気持ちいい熱をおすすめしています。健康の相談から始まるサウナ選び、大歓迎です。
写真: Ximonic (Simo Räsänen) (Wikimedia Commons, CC BY-SA 4.0)



