スーパー銭湯の一角にある「塩サウナ」の部屋。山盛りの塩を体にのせて、みんな静かに座っています。はじめて見ると少し不思議な光景ですが、あれにはちゃんと理屈と作法があります。今日は、サウナと塩の話。部屋の話から、体の中の塩の話、そして日本人と塩の深いご縁まで、しょっぱく深くお届けします。

ソルトサウナの、正しい作法
ソルトサウナは、たいてい普通のサウナより低温多湿の部屋です。作法の鉄則は、ひとつだけ。塩で肌をこすらないこと。塩の粒でごしごし磨くのは、肌を傷つけるだけの誤った使い方です。正解は、塩を肌に軽くのせて、そのまま待つ。すると面白いことが起きます。塩には水を引き寄せる力、つまり浸透圧があるので、肌ににじんだ汗を塩がぐんぐん呼び込み、やがて塩は自分の呼んだ汗に溶けて、とろりとした塩水の膜になる。この膜が肌の上でしばらく働いたら、シャワーでやさしく流す。上がったあとの肌の、つるりとした手ざわり。塩は、のせて、溶かして、流すもの。覚えておいてください。
汗をなめると、しょっぱい理由
ところで、サウナの汗をなめると、しょっぱい。当たり前のようで、これは大事なサインです。汗の原料は血液の水分で、そこには塩分(ナトリウム)が含まれています。汗のほとんどは水ですが、体は汗腺で塩分をできるだけ回収してから汗を送り出しています。ところが大量発汗のときは回収が追いつかず、塩分もいっしょに流れ出ていく。サウナでたっぷり汗をかいた日は、水だけでなく、塩分もいっしょに補給するのが正解です。梅干し一個、味噌汁一杯、塩タブレット。サ飯にしょっぱいものが旨いのは、体がちゃんと知っているからなのです。(水分補給の話はこちら、サ飯の話はこちら。)
いい汗は、しょっぱくない
面白いことに、サウナを続けて汗腺が鍛えられてくると、汗は次第にしょっぱくなくなっていきます。よく働く汗腺は、塩分の回収が上手だからです。さらさらで、塩気の薄い汗は、体の塩分を守りながら効率よく体を冷やす、いわば省エネの汗。逆に、久しぶりに大汗をかいた日の、べたついてしょっぱい汗は、汗腺がまだ寝ぼけている証拠です。自分の汗の味の変化は、汗腺の成長の通知表でもあります。(汗腺トレーニングの話は、こちら。)
塩は、清めの文化でもある
塩には、体を整えるだけでなく、心を整える働きも託されてきました。日本では古くから、玄関先の盛り塩、葬儀のあとの清め塩、土俵に塩をまく力士の所作と、塩は「けがれを払うもの」として暮らしに根づいています。塩をのせて静かに汗を待つソルトサウナの時間には、どこか、その清めの気配が漂います。ちなみに、塩をのせて入るこの入り方は、フィンランドではなく日本で育った作法です。蒸気の国の知恵に、塩の国の作法が重なった、和洋折衷の楽しみ方なのです。
家でも、塩をひとつまみ
自宅サウナでも、ソルトサウナの気持ちよさは味わえます。低めの温度に設定して、粗塩をひとつまみ、腕や脚にのせて、汗で溶けるのを待つだけ。ハルビアのヒーターなら温度調節も簡単です。ただし、木のベンチに塩を直接こぼすと傷みのもとになるので、タオルをしっかり敷いて。終わったら、床とベンチをさっと水拭き。塩の後始末まで含めて、作法です。
しょっぱい楽しみも、まるごと
岩手・盛岡のD'STYLEは、ハルビア岩手県正規代理店として、いろいろな楽しみ方のできるサウナの設置をお手伝いしています。塩の日、アロマの日、無音の日。あなたの引き出しを増やす一台を、おすすめします。ご相談、いつでもどうぞ。
写真: Niera (Wikimedia Commons, CC BY-SA 3.0)



