サウナ初心者の失敗あるある(こちら)が好評だったので、今日は薪ストーブ編です。しかも、ネタ元は私たち。プロを名乗る前の駆け出し時代の、恥ずかしいやらかしの数々を、安全講座の教材として供出します。失敗談は、教科書の注意書きより、よく記憶に残りますから。

やらかし其の一 / 生木を焚いて、家が燻製小屋に
駆け出しの冬、乾燥が足りない薪を「まあいけるだろう」で焚いた夜のことです。火はくすぶり、ガラスは一晩で真っ黒、部屋にはうっすら煙の匂い。翌朝、家族の服がぜんぶ燻製の香りになっていました。教訓。薪の乾燥不足は、焚き手の技術では取り返せません。含水率は正直です。シューシューと湿った音がしたら、その薪は来年の選手。(乾いた薪の見分け方は、こちら。)
やらかし其の二 / 軍手は、耐熱ではない
これは体で覚えた教訓です。作業用の軍手で、熱くなった扉のハンドルを、自信満々に握りました。軍手は断熱材ではなく、ただの布です。しかも編み目から熱が即座に通る。幸い水ぶくれ一つで済みましたが、以来、店では口を酸っぱくして言っています。火のそばの手は、厚手の革グローブ。軍手の万能感は、火の前では通用しません。(道具の話は、こちら。)
やらかし其の三 / 三日前の灰が、生きていた
灰の始末の話は何度も書きましたが、書く資格があるのは、ヒヤリとした経験があるからです。三日置いた灰を「もう冷めた」と思い込み、素手で確かめたら、底のほうに、まだ熱がありました。金属バケツだったから事なきを得ましたが、これが紙袋だったらと、今でも背中が冷えます。灰の中の熾火は、驚くほど長生きです。金属バケツ、ふた付き、屋外、数日。この呪文に、例外はありません。(灰の扱いは、こちら。)
やらかし其の四 / 空気を絞りすぎて、煙突が泣いた
火が安定したのが嬉しくて、早々に給気を絞り、とろ火で長持ちさせようとした冬もありました。結果、炉内の温度が上がりきらず、煙は白く濁り、煙突の内側にはねっとりしたタールがたまっていく。低温のくすぶり運転は、煙道を汚す近道だったのです。教訓。焚きはじめは空気を惜しまず、炉内をしっかり高温に育ててから、少しずつ絞る。細い薪から太い薪へと、くべる順番も大切です。とろ火の誘惑は、春の掃除のときに、まとめて高くつきます。
やらかし其の五 / 薪を詰めすぎて、真っ赤に
寒い夜、早く暖まりたい一心で、炉いっぱいに薪を詰め込み、空気も全開のまま台所へ離れたことがあります。戻ってみると、天板がうっすら赤らむほどの過燃焼。慌てて空気を絞りました。薪ストーブは、たくさん入れれば暖かい、という道具ではありません。適量を、こまめにくべるのが、いちばん安全で、結局いちばん暖かい。教訓。炉に詰め込みすぎない、目を離すときは落ち着いた火加減で。火は、急かすほど言うことを聞かなくなります。どのやらかしも、根っこは「少し面倒をはしょった」ことでした。乾燥を待つ、手袋を替える、灰を冷ます、火から目を離さない。ひと手間を省かない人が、結局いちばん安全に、いちばん火を楽しんでいます。
失敗の先輩として、言えること
火の失敗の特徴は、ほとんどが「知っていれば防げた」ものだということです。センスも運も関係ない。だから、先に失敗しておいた私たちの話が、あなたの家の保険になります。設置のときにお伝えする注意事項は、教科書の受け売りではなく、この、やらかし帖から書き起こした本音です。岩手・盛岡のD'STYLEは、失敗の先輩として、あなたの火の暮らしの無事故に伴走します。笑い話は店でもっとありますので、ぜひ聞きにきてください。
写真: JIP (Wikimedia Commons, CC BY-SA 4.0)



