この読み物、岩手の話を中心にしてきましたが、北東北は地続きの文化圏です。今日からときどき、お隣の秋田と青森の火と蒸気の話も織り込んでいきます。第一回は、秋田の大物。男鹿のなまはげです。実はあの鬼のような来訪神、語源をたどると、囲炉裏の火に行き着くのです。
「なまはげ」の語源は、ナモミ剥ぎ
大晦日の夜、「泣ぐ子はいねがー、怠け者はいねがー」と家々を巡るなまはげ。その名の語源は「ナモミ剥ぎ」とされています。ナモミとは、囲炉裏の火に長くあたり続けた人の脛にできる、低温やけどの赤い斑のこと。つまりナモミは「冬じゅう火のそばでごろごろしていた証拠」であり、なまはげは、その怠けの印を剥ぎに来る神様なのです。包丁と桶は、ナモミを剥ぐための道具。あの恐ろしい姿の正体は、「火のそばで怠けるな、働け」という、囲炉裏の時代の生活指導でした。ユネスコ無形文化遺産「来訪神」の代表格の根っこに、火だこがある。民俗というのは、面白いものです。
火のそばの怠けは、万国共通だった
裏を返せば、ナモミができるほど火の前を動かない人が、昔からいくらでもいた、ということです。分かります。囲炉裏でも薪ストーブでも、火の前は動きたくなくなる場所です(特等席の話)。低温やけどの注意は現代も同じで、ストーブの至近距離で長時間同じ姿勢、は今も皮膚科案件になり得ます。ペットの低温やけどの話(こちら)と同様、人間も「心地よい距離で、時々動く」が鉄則。なまはげに剥がれる前に、自主的にどうぞ。
来訪神は、暮らしの点検者
なまはげは、怠けを戒めるだけでなく、災いを払い、祝福も置いていく神様です。年の変わり目に、家の暮らしぶりを点検されて、襟を正す。裸参り(こちら)やどんと祭(こちら)と同じ、暮らしと火を律する冬の民俗の系譜です。北東北の冬の文化は、火のまわりに実に豊かに実っています。
火のそばで、ほどよく怠けましょう
岩手・盛岡のD'STYLEは、なまはげに叱られない程度に火のそばで怠けられる、幸せな家をお手伝いしています。ナモミの語源話、火の前の小噺にどうぞ。ご相談、いつでもお待ちしています。



