北東北の夏の頂点といえば、青森のねぶた祭です。高さ数メートルの巨大な灯籠が、囃子とハネトの熱気とともに夜の街を練り歩く。今日は北東北・青森編、灯りの祭りの話です。実はあの祭り、根っこをたどると「眠気と戦う火」に行き着きます。
ねぶたの語源は、「眠り流し」
ねぶたの語源は、「眠(ねむ)り流し」がなまったものとする説が有力です。夏の農作業の最盛期、労働の大敵は睡魔でした。その眠気を、灯籠や人形に託して川や海に流す「眠り流し」の行事が、各地にありました。秋田の竿燈も、仙台の七夕も、同じ系譜の親戚とされます。つまり、ねぶたの巨大な光は、もともと眠気という魔を払う火だったのです。豊作を祈る夏の夜に、火を掲げて練り歩く。どんと祭や迎え火(火と祈りの話)と同じ、火に想いを託す文化の、最も華やかな進化形です。
青森のねぶた、弘前のねぷた
ちなみに、青森市は「ねぶた」で人形型の勇壮な山車、弘前市は「ねぷた」で扇型の絵灯籠、と流儀が分かれます。青森はハネト(跳人)が「ラッセラー」と跳ね、弘前は「ヤーヤドー」と静かに進む。動のねぶた、静のねぷた。どちらも、和紙と灯りの造形としては世界級で、あの灯籠の内側から発光する美しさは、障子越しの行灯の美学の、巨大版です。火明かりの文化(こちら)の、ひとつの到達点だと思います。
祭りの後は、いつもの締めで
ねぶたの夜は、見る側も跳ねる側も、汗と興奮でくたくたになります。祭りの高ぶりの鎮め方は、さんさ踊りの記事(こちら)でお伝えしたとおり。水分、ぬるめのサウナか湯、外気浴で、交感神経の祭りを閉じてから眠る。夏の北東北の祭りめぐり(さんさ、ねぶた、竿燈は日程が近く、はしごする旅人も多いのです)は、宿や家の湯と蒸気まで含めて計画を。
灯りの文化圏の、火の店から
眠気を流す火、感謝を焚き上げる火、家をあたためる火。北東北は、火の使い分けの豊かな土地です。岩手・盛岡のD'STYLEは、その文化圏の末席で、今日も暮らしの火を商っています。ご相談、いつでもどうぞ。ラッセラー。



